日記

「好き」を全うする

芸術は「人間の研究」でありますので、僕は音楽を通して、
人の心の動き方や反応の仕組みを知ることが多いのですが、
「好き」という感情を分析してみると、それは意外にも
相手の長所に恋するばかりではないことに気が付きます。

それは、駄目男にばかり惹かれてしまう女の子の例や、
悪女に取りつかれて何もかも失ってしまう男の例に顕著ですが、
どうやら恋心というものは、相手の人間性の素晴らしさには
全く関係のないところで発生するもののようです。

品行方正で素晴らしい人格を持った人がモテるかと言うと
決してそうではなく、人の道に外れ、悪と悲壮の香りが漂う、
破滅型の人間の周囲にはたくさんの恋話が存在するものです。

「あんな男のどこがいいの。」

と涙に暮れた女子がお説教されている光景はありがちですが、
「あんな男だけど好き」というのが恋の魅力的なところですね。

他の大勢が良いと言うところを好きなだけでは、
その大勢の人たちと同じになってしまいます。

「好き」という感情の本当の価値は、
他の人が何と言おうと「わたしだけはそこが好き」と言う時の
自信の強さにあると思います。

相手の長所ではなく短所を好きになれたなら、
本当にその人に恋をしていると言えるのかもしれません。

このような恋をしたら、悲しいことに多くの場合、
不幸せな結末を迎えますが、ただ何となく恋愛をして、
ただ何となく結婚をして、ただ何となく人生をやり過ごす人が
多いこの世の中で、それはとても貴重な体験であり、
その人は「好きを全うした」と言えるでしょう。

そして、好きを全うした人の人生は、
美しく、豊かで、素晴らしいものとなることでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。