日記

あの時に付いた傷

新品よりも少しくたびれた古いものに惹き付けられるのは、
人間の嗜好の不思議なところです。

僕はアンティークが大好きで、
「なぜわざわざ古くて汚いものを。」とよく言われるのですが、
それは品物そのものよりも、
「品物に刻み込まれた時間」を美しいと感じるからです。

特に、木や鉄、布や紙などは時間を重ねることで
美しさを増してくるものだと思っています。

10年ほど前に無印良品で購入した100円の無地の用箋を、
陽射しの強い窓辺に置いておいたら、
長い年月によって美しく日焼けし、くすみ、よじれ、
それはそれは素敵なアンティーク用紙になりました。
10000円の値段でも付けたいくらい素敵なものになったのです。

大切にしている品物をあやまって落として傷が付いてしまい、
ひどくがっかりすることがありますね。
しかし10年も経てばその傷を愛しく思えるようになるはずです。

「ああ、あの時に付いた傷がここに。」

と、切なさと愛おしさが入り混じった
何とも言えないやわらかい気持ちを感じられることでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。