日記

あの頃に戻りたい

人は時々、

「あの頃に戻りたい」

と思うことがありますね。

仕事や人間関係が思ったようにいかず苦しい想いをしている時や
深い悲しみの中にいる時、日々をただ何となくぼんやりと過ごし
てしまっているような時にそんな風に感じます。

もしも本当に過去のある時点に戻れるとしたら、多くの人が
戻ってやり直したいと思うかもしれませんが、過去に戻るという
ことは、その間に起きた「良いこと」もすべて失ってしまう
ということに目を向ける人はあまりいないのは不思議なことです。

「良いことなんてひとつも無かったよ」

と悲観的で投げやりな気持ちになる人もいるかもしれませんが、
特に大きな喜びごとでなくても、その間に出逢った人や、
読んだ本、観た映画、聞いた音楽、書きかけの文章、作ったもの
食べた料理やお菓子の味、ふと浮かんだ素晴らしいアイディア、
かけてもらった優しい言葉など、ありとあらゆることが消え去り
そのすべてが無かった時点に戻ってしまうのです。

果たしてそれで良いでしょうか。

人生というのは、一見すると、
苦しみや悲しみばかり続いているように思えます。

多くの人が同じように感じているでしょうし、
豪華な生活をしたり、楽しそうな顔をしている人に限って、
耐え難い陰鬱を心の中に隠し持っているものです。

「人生は苦しい」

などとよく言われますが、それは人間が苦しみや悲しみにばかり
過大にフォーカスして自らの人生を捉えてしまう性質を持って
いるからです。

良くないことばかりに思えていた人生の間には、
忘れたくないような素敵なことが挟み込まれているものです。

「あの頃に戻る」ということはそれらまですべてまとめて
忘却の彼方に葬り去ってしまうということです。

苦しみや悲しみなどマイナスのことと、喜びや楽しさ、
嬉しさなどプラスのことは、混ざって発生するものです。

マイナスに注目せずに、プラスに目を向けるようにするだけで、
「あの頃に戻りたい」などと思わなくなるでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。