日記

ありがとうの想い

「ありがとう」と僕たちは日々口にしますが、
その意味を噛みしめてみると、実に感慨深いものがあります。

それは、人に親切にされたからとか、プレゼントをもらったから
その感謝の気持ちを、というのではなく、偶然出逢えたこと、
偶然そうなったこと、偶然今ここにいることなど、人の力では
どうにもできない「偶然」というものに対する畏敬の念です。

極端に言うと、僕たちは誰でも、
いてもいなくてもどうでもいい存在です。

「いいえ、そんなことはない。
 一人ひとりはかけがえのない存在です」

と言われそうですが、悲しいかな、世界はもっと残酷です。

いや、「世界が残酷である」というのは人間の主観ですから、
そのようなものさえ無く、

「世界は人間の一人一人を気にかけていない」

とでも言ったほうが良いでしょうか。

もっと分かりやすくクールに言ってしまうと、

「自分の代わりはいくらでもいる。
 自分がいなくなっても、すぐに代わりが見つかる」

ということです。

たとえば、世界中でその人にしかできない仕事が
あったとしましょう。

その人がいなければプロジェクトは進まない、
というような、中心となる人です。
そして、その人がもしも突然いなくなったとしましょう。
プロジェクトは頓挫するでしょうか。

そんなことはありません。
すぐに代わりがあてがわれ、
プロジェクトは何事もなかったかのように進行するでしょう。

「この人こそ」と思った恋人と別れてしまっても、
しばらくすれば別の恋人ができるでしょうし、
自分が生きていても死んでいても、春夏秋冬は廻ります。

人間の一人一人は、実はまったく無意味な存在なのです。

そして、ここからが本題です。

人間一人の存在など無意味、だからこそ、
出逢えたこと、今ここで生きていること、笑顔になれたこと、
仕事をしていること、親切にしてもらったことなどすべてに
「ありがたい」という気持ちが生まれるのではないでしょうか。

「自分は無意味な存在なのに、そんな自分に出逢ってくれた、
 そんな自分に仕事を頼んでくれた、そんな自分に親切にして
 くれた、そんな自分が今日もここで生きられた」

人知の及ばない何か大いなるものの取り計らいに対して
お礼を言いたいという気持ちになるのです。

つまり、今日も朝を迎えられたこと、大切な人に会えたこと、
仕事をすることができたこと、美味しいごはんを食べられたこと
困難や試練を与えられたこと、汗を流すことができたことなど
すべてに対して「ありがとう」という想いがにじむのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。