日記

いたいのいたいのとんでゆけ

「言霊」という言い方があります。

日本において、言葉に宿ると信じられている霊的な力のことで、
その言葉を発する時、または誰かが言ったその言葉を
耳で受け取った時に、心に作用すると信じられている
不思議な力のことです。

僕は音楽を作る仕事をしておりますので、
たった12音しかない音の組み合わせによって、
それを聞いた人の心の中に、悲しみや喜び、驚きや希望などが
沸き起こることに、長い間寄り添ってきているわけですが、
言葉というものもひとつの小さな音楽ですので、
言霊というものの存在をとても身近に感じています。

たくさんある言葉の中で、
特に絶大な力を持っていると僕が思っているのは、

「ありがとう」

という言葉です。

何かしてくれた人に対する「ありがとう」はもちろんですが、
生まれたことに対するありがとうや、大いなる自然に対する
ありがとう、ふいに訪れた幸運に対してありがとう、
そして、ふいに訪れた不運に対してさえもありがとう。

そんな気持ちでこのたった五文字の言葉を、
意識せずに自然体で言うことができるようになった時、
その人は豊かな人生を生きていると言えるでしょう。

また、たくさんある言葉の中で、
特に言霊の大きな力を感じるのは、

「いたいのいたいのとんでゆけ」

という言葉です。

転んで膝をすりむいてしまった子供に対して、
その膝を撫でてあげながらこの言葉を言うだけで、
子供は泣き止み、笑顔を取り戻します。

子供じゃなくたって、何かで苦しんで、身体的、精神的な苦痛に
耐えているような人に、この言葉を言ってあげてください。

不思議なことに、たった五文字のこの言葉だけで苦痛は和らぎ、
言った人も、言われた人も幸せになることでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。