日記

くすんだ音

音楽制作の過程でプレイヤーに対して

「きれいな音を」

ではなく、あえて

「きたない音を」

と指示する時があります。

この場合の「きたない」というのは
音程が悪いとかそういう意味ではなく、
少し歪ませたり、ノイズを匂わせたりするということです。

なぜわざわざそんなことをするのかと言いますと、
ローファイな音ほど空気感や人間臭さが感じられ、
音楽的になるからです。

テクノロジーの進歩により、最近では、
かなり高音質の音源がたくさん売られていますが、
このようなサウンドを楽曲に取り入れる時、
そのまま鳴らすと違和感を感じることがあります。

やけにハッキリとキレイ過ぎて、
取って付けたような印象を与えてしまうのですね。

そのため、EQ(音質調整)でわざと暗めの音にしたり、
エフェクトを使ってわざと歪ませたりノイズを乗せたりします。
そうすることでアンサンブルに馴染むようになるのですね。

絵に例えますと、濃い鉛筆でハッキリと描いた線が
何となく味気ないなと思った時に、
指でこすってにじませたりするのと同じことです。

くすんでよごれた音が、心地良く響くのですね。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。