この世界を川にたとえてみると、その流れは「逆流」であるため
がんばってがんばってやっと「現状維持」となり、
がんばらなければたちまち後ろに流されてしまう
ということを以前書きました。
つまり、前に進むためには、がんばってがんばって、
現状維持を超えてさらにがんばらなければいけないわけです。
日々の仕事で、常に最高のものを納品したいと思い、
限界まで力を注ぐのは当たり前のことですが、
時が経ってから改めてむかし納品したものを見返してみると
その稚拙さに愕然とすることがあります。
「今だったらこうするのにな。」
と思うことがたくさんあります。
(しかしながら自分がやった仕事というのはどれも愛しく、
まるで子供のようなものですので、欠点や粗を発見したとしても
落ち込んだりすることはなく、むしろその欠点を
可愛く思えたりするものですが。)
ということは、人間は仕事をひとつひとつこなしながら、
少しずつ成長していることになります。
たとえば、何かを組み立てたり箱に入れたりといった単純作業の
仕事であっても、以前は1分間に10個しかできなかったものが
今では20個もできるようになったとか、以前よりも美しくできる
ようになったなどというように、「仕事の精度」が上がります。
それがその人の仕事面での「価値」となって積み上がっていき
ますので、そのためにはやはりひとつのことに絞ることが
重要になります。
あれもこれもやろうとしたり、すぐに投げ出して他のことを
やろうとしてばかりいては、仕事の精度向上はなく、
その人の仕事面での価値は永遠にゼロのままでしょう。
人は、仕事をひとつひとつ完成させながら、
同時に勉強もしていることになります。
仕事をすぐに変えたり、あれもこれもやろうとしている人は、
お医者さんになろうとしたのに今度は弁護士になろうとしたり、
栄養士になる勉強をしながら同時に税理士の勉強もしているのと
同じことで、どれもいつまでたっても実現できないでしょう。
何かひとつのことを選んで、それをずっとやり続ける、
ということが大切なのだと思います。