日記

サビのあたまを突く

「終わりよければすべてよし」という言葉がありますが、
「始めよければすべてよし」ということもあります。

ボーカル曲のレコーディング現場で、

「あたまを突いてください」

とエンジニアの人に指示することがよくあります。
この場合の「あたま」というのは、歌い出しのことで、
特にサビ部分の歌い出しのことを言います。
「突く」というのは、ボリュームを上げるということです。

つまり、サビの歌い出しの部分は、
他のところよりも音量大き目で入り、
歌が進行するにしたがって次第に元の音量まで戻す、
ということを意味しています。

このような音量コントロールによって、

「さあ、この曲のクライマックス(サビ)が始まったよ。」

という盛り上がり感を演出できるのです。

そして、その後音量を元の定位置まで戻しているはずなのに、
不思議なことに音量はそのままに感じられるものです。
まさに、「始めよければすべてよし」ですね。

人間の耳と心が織りなす特性をうまく活かした演出法です。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。