日記

タレントとマネージャー

仕事柄、演奏家の方と一緒に過ごす時間が多いのですが、
素晴らしい演奏技術を持っているのに売れない人と、
演奏技術はさほどでもないのに売れている人がいる
という事実をこれまでたくさん見てきました。

つまり、現在誰もが知っている有名な演奏家よりも凄い腕前を
持った演奏家というのは実はたくさん存在するのです。

また、大物の社長やプロデューサーをよく観察してみますと、
自分では何もしていないということに気が付きます。
いや、何もしていないというのは間違いですね。
モノやサービスを自分の手で作ってはいないということです。
作曲もしませんし、演奏もしません。
楽譜すら読めない人もいらっしゃいます。

では、そのような人たちの仕事は何かと言うと、
プロジェクト全体のリスクを背負うということと、
巧みな話術や大げさな身振り手振りで夢を語ることです。
僕の知っているある芸能事務所の社長は、
携帯電話ひとつだけで仕事をしていて、
あちこちに次々と電話をかけて高額案件をまとめていました。

音楽というのは本来、人間の内側の探求ですので、
音楽家は大前提として自らの醜さに正直でなければならないため
誇張した宣伝や上っ面の営業などはできない人が多いのです。
人前でペラペラと自分のことを宣伝できる芸術家ほど
信用できないものはありません(笑)。

かと言って、そのようなこともできなければ、
自分の音楽を社会に広めることはできません。
それもまた大切な仕事のひとつであるのです。

有名な演奏家の隣には敏腕のマネージャーが必ずいるものです。

そのようなパートナーを持てることのできた演奏家は幸いです。
社会へのプレゼンテーションはパートナーに一任して、
自分は自らの芸術性を追求することに専念することができます。

売れて有名になって独立しようと事務所を辞めたとたんに
全く売れなくなってしまったという話をよく聞きますが、
あれは世間で言われているように事務所側が妨害したとか、
業界に干されたというのではなく、単にパートナーを失い、
「売る」という仕事が疎かになってしまっただけのことです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。