日記

トラブルを価値に変える

ニュースを読み上げるテレビキャスターや気象予報士の方が、
放送中に思わぬ喉のトラブルに見舞われることがあります。

喉に何か引っかかってしまったのか、
声を出すことさえ困難な状態になります。

バラエティ番組などとは違い、演者はたった一人ですので、
他の誰かがフォローを入れて場をつなぐこともできず、
無音状態が続いて、放送事故のような雰囲気になります。

事前に収録された番組であれば、編集技術によって、
「無難な流れ」に修正することもできますが、
生放送ですのでそうもいきません。

しかし、多くの演者さんは、持ち前のプロ根性を発揮して、
声をかすれかすれさせながらも、
必死に視聴者に情報を伝えようとします。
言葉を少しずつ発しながら喉の調子を探り、
自分の持ち時間をこなすために全神経を集中させます。
その様子が視聴者に伝わり、不思議な感動が生まれます。

そして最後に、

「冒頭に大変お聞き苦しい部分がございました。
 まことに申し訳ありませんでした。」

というようなさり気ない謝意を表すことで、
まるで一本のドラマを見終えた後のような
清々しい気分になります。

何事もなく情報が伝えられていた毎日よりも、
編集によって作られた「無難な流れ」よりも、
むしろ良いものとなります。

情熱は、不意のトラブルを、価値あるものに変えられるのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。