日記

バラの香りのする作曲家

仕事というものは、「仕事そのもの」はもちろんですが、
それ以外の部分にいかに気を遣い丁寧にできるかが重要です。

たとえば、引越し屋さんを例にしますと、
荷物を指定の場所に丁寧に運ぶのは当たり前であって、
いくらおしっこがしたくなったからと言って、
お客さんの新居のトイレを借りて、お客さんよりも先に用を足す
などということは決してあってはいけません。
もちろん引越し屋さんも人間ですし、懇願されたお客さんも
「いいですよ、どうぞどうぞ。」と言ってくれるとは思いますが
(逆に、頑なに拒むお客はそれはそれで問題ですが・・・)、
決して良い印象を残すことなくその取引は終わることでしょう。
もしも僕が引越し屋さんだったなら、
どんなにおしっこがしたくなっても、
膀胱炎になっても構わないという根性で我慢するでしょう。
どんなに丁寧に荷物を運んでも、僕のおしっこひとつで、
すべてが台無しになってしまうからです。

僕は美しいものが大好きで、バラなども好きですが、
決して身体中からバラの香りを放っているわけではありません。
汗もかきますし、体臭も大いに放ちます。(すみません。。。)
しかしながら、体臭のする作曲家とバラの香りのする作曲家の
どちらにお客さんは音楽を依頼したいと思うでしょうか。
多くの人がバラの香りのする作曲家に依頼したいはずです。
美しいものをこしらえるには、こしらえる人間自体が、
美しいものに敏感でなければいけません。

そのようなことは一見すると「仕事そのもの」には
全く関係がないように見えますが、実は大きく影響します。
特にサービス業においては顕著でしょうね。

お客さんへの品物(サービス)が良いのはもちろんですが、
それをいかにしてこしらえるか、それをいかにして包むか、
いかにして手渡すか、という部分もとても重要なのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。