日記

パソコンでの創作は数値で判断しない

僕たちのような音楽制作者だけはなく、
ほとんどの職業の方に言えることだと思いますが、
今は仕事の多くをパソコンですることが多くなりました。

以前は手を使って絵を描いていた人も、今はパソコンのソフトを
使って描く場合があるでしょうし、僕たち音楽を作る人間も、
以前は手書きで楽譜を書いてそれを演奏者に渡し、生演奏を
録音してそれを納品していましたが、今では作曲も譜面作成も
演奏も録音もすべてパソコンで行います。

しかし、たとえば音楽制作を例に取って見てみますと、
楽器の音の強さは128段階しかありません。
(実際は127段階ですが「無音」も加えると128段階。)

生演奏では、その1段と1段の間にさらにたくさんの段がある
ことになりますので、そこから「人間っぽさ」がにじみ出ますが
パソコンにおいては、128個の強さから選択するしかありません。

また、ソフトの操作画面では、「0~100」などの数値の中から
選んで入力することで決定していきます。
たとえば、「赤い色」の度合いを決める時、
「70」などと数値を設定していくことになるのですが、
実際は「70」と「71」の間にもたくさんの濃淡が存在します。
しかしそれはパソコンでは表現できません。

さらに、数値で設定するため、「30」とか「50」とか
ついつい「キリのいい数値」を設定してしまいがちです。
その数値がその表現にもっとも適したものかどうか
感覚で判断するのではなく数値で判断してしまう危険性が
あるのです。(人間はキリのいい数値が大好きなものです。)

ですので、パソコンで音楽や絵などの作品を作ろうとする時
には、数値になるべく意識が向かないように注意して、
実際に色合いを目で見たり、音を耳で聞いたりして
感覚で決断していく必要がありますね。

これまでに自分が作った作品のファイルを開いてみて、
設定値にキリのいい数値が並んでいたら要注意です。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。