日記

ロボットが1円玉を警察に届けなくなる日

コンピューターは入ってきた指令を、
それがどんな指令であっても疑うことなく処理してしまいます。

先日、ある大手のホスティング事業者が起こしてしまった
サーバーのトラブルも、複数あるバックアップをすべて同時に
消去してしまい、多くの被害をもたらしました。

「複数のバックアップを同時に消去する」という指令は、
人間だったらまず疑ってかかることができます。
なぜなら、バックアップというのは、
「同時に消去されると困る」ものだからです。

しかしながらコンピューターには、
この人間的な感覚が分からないため、
何をしても決して「困らない」のです。

そのため、指令されると、
それがどんな指令であっても何の疑いもなく処理してしまい、
このような大惨事を引き起こしてしまうのです。

「まじめな人ほど応用が効かずに大きな問題を引き起こす。」

と言われますが、これはまさにコンピューター君のことですね。

最先端のコンピューター技術では、
「人間臭さ」というものの追及が始まっています。

これは、対象の好き・嫌いに始まり、
不確実なものをあえて許容していく試みへと進んでいます。

つまり、完璧とは実は完璧ではなく、
不安定なものこそ良い意味での安定をもたらすということです。

まじめ一筋で生きてきた模範教師がある日突然殺人を犯し、
みんなから恐れられる町の不良がある日人命を救助します。
例は極端ですが(笑)。

道端で1円玉を拾ったら、

「おお、ラッキー。」

とささやかなる幸せを感じ、
その1円玉は拾った人の財布の中に入れられ、
束の間の幸運のお守りとなることでしょう。
その日一日何となく素敵な気分で過ごし、それでおしまいです。

しかしながらもしもコンピューター君が1円玉を拾ったら、
間違いなく警察に届けることでしょう。
これは一見すると法に乗っ取った良いことのように見えますが、
実に味気なく、興醒めの行為であり、おもしろくも何ともなく、
忙しく働いていらっしゃる警察の余計な仕事を増やすだけです。

もちろん100万円を拾ったら警察に届けるでしょう。
つまりは「許容と倫理」の問題になってきますが、
コンピューターが倫理を持ち、
その倫理の上で人間臭い自由な判断ができるようになると、
コンピューターはもっと人に近付けるでしょう。

ロボットが1円玉を警察に届けなくなる日が来たら、
そこには今よりもっと素晴らしい未来があるかもしれません。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。