日記

一人になるテクニック

僕は、作曲をしている間は一人になりたい人間です。
(まことに身勝手なことですが。)
すべてのものをシャットアウトして
あらゆる扉という扉をすべて閉め切って、
たった一人で部屋に閉じこもって、コソコソと作ります。
「過程」は決して見られたくなく、
「完成品」だけをそっとご覧にいれたいのです。
最近では「一人になるテクニック」を身に着けました。
周囲がどんな場所であっても、周りに人がたくさんいても、
いつでも自由自在に「自分の世界」に行けるのです。
ところが、誰かに何か話しかけられると、
たちまちその「自分の世界」は消え去り、
僕は「現実世界」に引き戻されてしまいます。
そうするとさっきまで目の前にあった美しい世界、
聞こえていた美しい音が、霧のように消えてしまうのです。
その「美しいもの」をまだ完全に掴み取らないうちに
誰かの呼びかけによって現実世界に引き戻されることくらい
大きな苦痛はありません。
昔話に『鶴の恩返し』というのがあって、
「わたしがこの部屋で機織を終えるまで、
 決して扉を開けないでください。」
という台詞がありますが、まさにあれと同じ心境です。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。