日記

二人の間の「良くなかったこと」

たとえば、男と女がお別れします。
失恋で傷ついて頭に浮かぶのはいつも「楽しかったこと」だけ。
二人で一緒に行った場所とか、一緒に大笑いしたこととか、
二人で観た映画とか、一緒に買った品々のことが頭から離れず
ずいぶんと苦しい想いをします。
「あの時ああすればよかった。」
「あの人は本当はいい人だった。」
というのは人が人と別れる時に感じる「心の風邪」です。
良かったことばかり思い出してしまい、
失われたものへの執着心と自己嫌悪で眠れぬ夜を過ごします。
しかし時が経って冷静になってくると、
ずいぶんと酷いことをされたことにも思い当たります。
二人でいて、楽しかったことばかりであるはずはなく、
今になって思い出しても腹が立つことがたくさんあるはずです。
これは恋人でも夫婦でも友達でも同じことで、
人と人の間には、良いこともあれば良くないこともあります。
大切な人を失いそうになった時、もしくは失ってしまった時、
思い出さなければいけないのは「楽しかったこと」ではなく、
むしろ「楽しくなかったこと」のほうです。
二人の間にあった「良くなかったこと」。
それをいつか許せるだろうか。
それをいつか認めることができるだろうか。
それをいつか懐かしいと思うことができるだろうか。
そこに「幸せの鍵」が隠されているのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。
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