日記

人の目を見られない

「人の目をまともに見られないやつは信用するな。」

などとよく言われますが、僕はまさに、
「人の目をまともに見ることのできない人間」の一人です。

何か隠し事をしているとか、腹を割って話していないとか
そういうことではなく、ただ恥ずかしくてたまらないのです。

僕は相手が初対面の人であっても、自分のもっとも恥ずかしい、
もっとも弱いところを包み隠さず話すことができます。
自分の中にある最低最悪な泥沼をまずはお見せした上で、
さあそれでは話しましょう、という風な付き合い方をします。

最低最悪な泥沼を最初にお見せしてしまうわけですから、
そこで去る人も当然いらっしゃいますが追うことはありません。
去らないで残ってくださった方とだけ
お付き合いする格好となります。

また、たとえ隠し事があったとしても、身体の動作がぎこちなく
不自然になって(男性はそういうことが多いものですが)、
その場で全部バレてしまうことを知っていますので、
自分の中のこれは言っちゃダメだろうという極限の醜悪さまで
さあどうぞこれが僕ですとすべてお見せしてしまいます。

ですので、怖いものなど何もないはずなのですが、
どうしても相手の目を見ることができないのです。
特に相手が初対面の方だったりするとなおさらです。

お付き合いの長い方々と仕事の話に熱中している時などは、
目から火花を飛ばす勢いで相手をガン見して白熱するのですが、
相手が初対面の方であるとまずまともに見ることはできません。

これはどうしてなのだろうと僕はずっと考えていました。
そして最近分かったことは、僕は人と出逢うことが滅多にない
ため、それがとても嬉しいからだということです。

人と日常的に出逢っている人にとっては何気ない時間でも、
孤独な僕にとってはとても大きな出来事なのです。

少し大きくなった赤ちゃんに、顔を近づけてじっと見つめると、
照れたように笑って顔をそむけ、お母さんの胸に隠れたりする
ことがありますが、あれに近い種類のものです。

僕はまだ赤ちゃんだったのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。