「何もできない」ことが人間の最大の苦痛である。
という言葉があります。
忙しさが極まった時や、思わぬ出来事にショックを受けて
呆然となった時などに人は、
「何もしたくない」
などと言いますが、本当に何もしない、何もできないということ
は大きな苦痛であるということを忘れているものです。
AかBを選択できるなら、そのことで迷い考えれば良いのですが、
AもBも選ぶことができない状況に陥った時、行き場のない苦しみ
を感じるでしょう。
ドストエフスキーの小説の中に、
「高い崖のようになった場所、そしてその広さが自分の両足ほど
しかないところに立たされた人間がどうなるか分かりますか。
どうにもこうにも身動きが取れなくなった時、
人は自ら崖から身を投げることを選ぶのです。」
というような台詞が出てきます。
何もできない状況、微動だにできない身動きの取れない状況、
極度の退屈などから逃れるために人は死をも選ぶのです。
「忙しい、忙しい」
とぼやきたくなったら、自らが幸せな状況にあると
思い直してみましょう。
白黒迷宮/作曲:山谷 知明