日記

作品完成後の後悔について

映画作りの大御所に、

「100%満足のいく仕事をしたことはありますか。」

と尋ねたところ、案の上

「そんなことは一度だってありません。」

というお答えでした。そして、

「前作での不満を、次回作で叶えるのです。」

ともおっしゃっていました。

僕が「案の上」と書いたのは、これは何がしかの創作をしている
人であれば、誰でも身に覚えのあることだからです。

創作というものには「これでよし」という終わりがなく、
つまりどれだけ手をかけても良く、それなのに、
プロジェクトには必ず「締め切り」というものがあるからです。

限られた時間の中で、その人にとって最大の力を
出しきることができるかどうかが勝負となります。

文豪太宰治も、『乞食学生』という作品の中で、

「一つの作品を、ひどく恥ずかしく思いながらも、
 この世の中に生きてゆく義務として、
 雑誌社に送ってしまった後の、作家の苦悶に就ついては、
 聡明な諸君にも、あまり、おわかりになっていない筈である。
 その原稿在中の重い封筒を、うむと決意して、投函する。
 ポストの底に、ことり、と幽かすかな音がする。
 それっきりである。
 まずい作品であったのだ。」

と書いています。

こういった後悔の念は、創作家であれば誰でも感じるはずですし
むしろそれを一切感じることがない人がいたとすれば、
その人は決して進歩することのない人です。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。
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