日記

作家とクライアントの間に

残念ながら、マネージャーや秘書を持っていないため、
音楽制作以外の様々なお仕事もすべて自分でやらなければ
いけない身なのですが、特に大変なのは、こしらえた音楽を、
クライアントに試聴していただく時の自分の立ち位置です。

大きなプロダクションでは作家が作ったものを、
プロデューサーなりマネージャーなり作家とは別な人間が
クライアントのところに持っていき、
つまりクライアントと作家の間に入って、
様々な根回しや営業トークを繰り広げ、
いわゆる「潤滑油」的な仕事をこなしてくれるのですが、
僕は自分でこしらえたものを自分で持っていくしかありません。

音楽という品物は、それを作った人間のパーソナルな部分と
つながっているところが少なからずありますので、
クライアントに一部分でも指摘されると、
まるで自分の全人格を否定されたような気持ちになって、
ひどく落ち込み、しばらく暗い気分で過ごすことになります。

また、その音楽の良いところを強調して、営業トークしたくても
自分で作ったものですので、何だか自慢のようになってしまい、
甚だ居心地が悪くなってしまいます。

作家にとっては、作品をクライアントに届けてくれる存在が
実はとてもありがたいのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。