日記

作曲の三つのやり方

作曲には三つのやり方があります。
まず一つ目は、自らの心と対話し、
己の心から湧き上がってくる音を一つずつ拾って
音楽を組み立てていくやり方です。
これは、純粋に作曲家自身の創作欲によるものであり、
自己の探求と新しいものへの挑戦となります。
二つ目は、他者のイマジネーションと作曲家の音楽性を
混じり合わせながら、音楽を作っていくやり方です。
これは、他者との合作と言ってもいいほどなのですが、
他者は特に音楽に精通している人でなくても良いのです。
他者の漠然としたイマジネーションをしっかり理解しながら
音楽を組み立てていく技術が作曲家にとっては必要になります。
依頼されて作る音楽のほとんどはこの作り方によるものです。
たとえクライアントが「好きに作っていいよ。」と
言ってくれた場合であっても、作曲家は自然と
クライアントの好みや要望を意識しながら創作します。
そして三つ目ですが、僕はこのやり方で作曲することが
世の中ではあまり行われていませんが
実はとても素敵だと考えています。
それは、作曲家が己の心を無にし、
他者の心の中で流れている旋律にのみ耳をすませ、
その音を一つ一つ丁寧に取り出しながら
音楽を作っていくというものです。
これは一見すると二つ目のやり方に似ていますが、
大きく異なる点は、作曲家本人が生み出そうとするのではなく、
あくまで他者が生み出すのを「お手伝いする」ことに
力を尽くすというところにあります。
自己の内面に向き合って仕事をすることの多い作曲家にとって、
他者の心の中の旋律を感じ取りそれをかたちにしていく作業は、
なんと魅力的なことでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。