日記

依頼人の頭の中ではすでに既存の音楽が鳴っている

新しい音楽の制作をご依頼いただく時に、ご依頼主の頭の中には
すでに特定のイメージが存在します。

この世の中に存在している曲が頭の中で鳴っていて、

「こんな感じの新曲が欲しい」

とおっしゃるわけです。

そのため、イメージを長々と言葉でご指示いただくよりも、
求めているものに近い「既存曲」のタイトルを提示して
くださったほうが、仕事がしやすいです。

音楽というのは目には見えないため、
言葉で説明するのがとても難しいのです。
言葉だけでごちゃごちゃやっていると誤解を生んでしまい、
双方がイメージしている到着点がどんどん離れてしまうという
危険性もあります。

すでに耳に聞こえるかたちになっている「既存曲」を土台として
打ち合わせするほうがスムーズかつ安全でしょう。

もちろん、

「まだ、この世にない曲を」

とか

「誰も聞いたことのない曲を」

というオーダーをいただくこともありますが、それでも、
ご依頼主はある特定の曲をイメージとして持っているもので、
それがどんな曲なのかを探っていくのが、音楽制作者の仕事の
一部分であると思います。

つまり、作曲家の仕事というのは、音符を組み立てて旋律を作り
音を重ねて音楽を作っていく作業だけではなく、ご依頼主の
頭の中に入り込み、希望のイメージを探ることが一番最初で、
仕事全体におけるその割合は思いのほか大きいものです。

自分で、自分のために作る場合は、自分の頭の中にあるイメージ
だけで好きに作って良いのです。

しかし、制作費を出してくれる人がいる場合、
ご依頼主の頭の中にあるイメージをつかむことが
まず最初の仕事となります。

今日の音楽

失われた風景/作曲:山谷 知明

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。