日記

全リスナーの代表者

人間の耳はとても便利に出来ていて、たとえばライブなどで
ピアノとバイオリンのデュオ演奏を聴いた時に、
バイオリンのメロディーを「聴きたい」と思うだけで、
耳が勝手にバイオリンの音に集中し、ピアノの音量を下げ、
バイオリンを大きく感じ取ることができます。
同じ瞬間に、逆にピアノのフレーズを「聴きたい」と思った
別の人がいたとしましょう。
その人にはバイオリンの音は控えめに、
ピアノの音が大きく聴こえるのです。
同じ音楽現象であっても、聴く人の「意識」によって、
楽器のボリュームや音色まで変わって聴こえるというのは
何だかとても不思議ですね。
これをCDというメディアに封じ込めるのが、
「ミックス」という作業になります。
たとえば歌が入っている楽曲で、
サビのこの言葉を「聴かせたい」という意図があったとします。
その場合、ミックスをする人は、伴奏として鳴っている
他の楽器の音をそこだけ少しボリュームダウンして、
ボーカルを聴きやすくするための仕掛けをします。
(もちろんボリューム操作だけではなく、
その他様々な技術を駆使してデザインされます。)
CDをよく聴いていただければお分かりになると思いますが、
すべての楽器の音が最初から最後まで
同じボリューム、同じ質感で鳴りっぱなし、
ということはほとんどなく、場面によって前面に出たり、
奥に引っ込んだりしていることに気が付くことでしょう。
これがミックスをするエンジニアさんのお仕事です。
そういう意味でミックスエンジニアさんは
全リスナーの代表者であり、出来上がったCDは、
そのエンジニアさんの耳で聴くライブ演奏と言えますね。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。
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