昨日、敬愛する作詞家の方とお昼御飯&お昼酒をいただきながら
お話をさせていただく機会がありました。
この方とはもう10年を越えるお付き合いで、御年75歳。
発する言葉のひとつひとつが人生を謳うポエムのようで、
とても心に沁みるのです。
この方は、作詞をしている時にいつも
「ありがとう」
という気持ちが沸き起こってくるそうです。
白い紙とペンだけが目の前にあります。
すると、周囲の雑音や日々の心配ごとなどがすべて消え去り、
別の世界に足を踏み入れたかのような感覚になるそうです。
そして、その世界では欲や見栄や嫉妬という感情が消え、
自分自身もまったく消えてしまい、大きくてあたたかい快楽に
包み込まれているような恍惚感を感じるそうです。
俗世を捨てて出家した僧の「無我の境地」に近いものが
ありますが、一番良い創作の状態とはそういうものでしょう。
創作を仕事としてやる場合には、締切もありますし、
恐ろしいクライアントもいますし、ライバルの動向も気になり
ますし、周囲の様々なことに気をもまなければいけません。
そして、プロならば、そのような状況にあっても、
一定レベル以上のものを提出することができるでしょう。
しかし、「本当の創作」というものは、無我の境地に達して、
その世界で創作できることへの感謝の気持ちに満たされ、
何か大いなるものに抱かれているような感覚になってこそ、
できるというものです。
そんな
「創作における無我の世界」
に自由自在に出入りすることができれば良いのですが、
なかなかそう簡単にはいきません。