日記

哀しみの少年

僕が住んでいるマンションには、
子供がいらっしゃるご家庭が多いのですが、
昨日、何やら外から悲壮な泣き声が聞こえてきたのです。
カーテンを開けて外をのぞいてみたら、
5歳くらいの少年が大声をあげて泣きながら、
「お父さん! 行かないで!!」
「お父さん! 行かないで!!」
と繰り返し叫んでいました。
少年は叫びながら、誰かを追いかけて
マンションの共通口のほうへ向かって走って行きました。
お父さんはただ仕事に行っただけなのか、
それとも夫婦喧嘩をして「出て行くぞ」と吐き捨て、
気晴らしにちょっと外に出ただけだったのかもしれません。
しかし、泣きながら追いかけていったあの少年の声の
あまりの切なさに、僕は胸がとても苦しくなったのです。
大人にとっては何気ないことでも、
子供にとってはまるで世界の終わりのように感じてしまう、
そんな出来事がきっとあるのです。
そして、大人にとっては些細なその小さな哀しみは、
少年の心には大きなものを残すに違いないのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。