日記

幼い頃の記憶がよみがえる瞬間

幼い頃の記憶が、突然よみがえる瞬間があります。

それは何も特別な出来事の思い出などではなく(特別な出来事の
思い出というものは心の浅いところに存在していて、いつでも
引き出されるものです)、何気ない、思い出しても何の得にも
ならないようなワンシーンであり、それは通常、心の奥深い
ところにしまい込まれているようなものです。

その何でもない情景がふとよみがえり、心をとらえて離さない
というようなことがたまにあります。

僕は、生まれ育った青森県黒石市の街にあった本屋さん(今は
廃業して存在しませんが)の裏口に通じる暗がりを
最近思い出しました。

それはおそらく僕が5歳かそこらだった頃のことと思います。
お父さんに連れられて行った本屋の裏口に通じる狭い通路は、
暗く、埃っぽく、何かが棲んでいるような気がしたものです。

その暗がりを通り抜けて、裏口を抜けた瞬間、
目の前に明るくて広い駐車場が現れて、映画館から外に出た
ような、夢から現実に戻るかのような感覚を覚えたものです。

そういう何でもない記憶が、心をとらえて離さないような時、
自分の心がいったいどんな状態にあるのか分析してみますと、
たいていは、心理的に何かに立ち向かっている時、
弱っている時、突破口を見つけようともがいている時である
ことに気が付きます。

今日の音楽

なつかしい日々/作曲:山谷 知明

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。