日記

悪意のループ

理由もなくただ厳しくすることだけが目的の先輩というものが
この世には存在するもので、そんな先輩にしごかれた後輩は、
学年が上がって自分が先輩の立場になったとたんに
同じように厳しく後輩をしごいてしまいます。

自分がやられていた時は、

「俺が先輩になったら後輩には絶対にこんなことはしないぞ。」

と心に固く誓った人に限って、
同じことを繰り返してしまうものです。

自分が受けた悪意を、自分のところで留めておくには
あまりにも人間という生き物は弱く作られていますので、
受けた悪意を何らかのかたちで発散するしかなく、
悲しいことにそれは自分より弱い他人へと向けられます。

悪意は人から人へと手渡され、雪だるまのように
どんどん大きくなっていくことでしょう。
そうして、巨大になった悪意の塊が、
いつかまた自分のところへ帰ってくるのです。

それを阻止するためには、いつか、どこかで、誰かが、
この「悪意のループ」を断ち切らなければいけません。

それは、受けた悪意の痛さに耐え、自分のところで止め、
そこから先に悪意が手渡されないようにするということで、
つまり、右の頬を打たれたら左の頬を向けなさい、
ということになるのですが、これができる人というのは
そうそういるものではありません。

右の頬を打たれたら、相手の頬を打ち返すか、
もっと悲しいことには、その相手にではなく、
自分よりも弱い別の相手に矛先が向けれてしまいます。

社会が悪い方向へ大きくなっている時は、
「悪意のループ」を断ち切ろうとする勇気ある人が
少なくなっている時です。

社会が良い方向へ大きくなっている時は、
どこかの誰かが社会の悪意を一手に引き受けている時なのです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。