日記

慈しみのアリア

先日リリースさせていただきました、
イザナギTaROさんの『慈しみのアリア』という曲ですが、
当初僕が作曲をする段階では、
『悲しみのアリア』という仮タイトルを付けておりました。

世の中に散らばっている様々な悲しみにそっと寄り添うような、
そんな音楽を作りたいと思って音を積み上げていったのです。

曲が出来上がり、TaROさんが詞を付けていく段階になって、
単に悲しみに寄り添うだけではなく、
傷んでいる人をもっとあたたかなもので包み込んであげたい、
という願いが強くなってきました。
詞の内容も、ただ悲しみを傍観したり嘆くだけのものではなく、
もう一歩踏み込んで、その人の手をそっと握ってあげるような、
そんなものにしたいと思うようになったのです。
やがて詞が完成し、
『慈しみのアリア』というタイトルが付きました。

歌詞に目を通していただけるとお分かりなると思いますが、
一見するとこの歌は、母が子に聴かせる子守歌のようです。

しかし、レコーディングの時にTaROさんは、

「この歌は、年老いた母に対する子の想いでもあります。」

とおっしゃいました。
そう思いながら改めて歌詞を読みますと、
母親の寝顔をそっと見つめる成長した子供の姿が
ありありと浮かび上がってきます。

また、母が子に対して感じる愛、子が母に足して抱く愛、
といったものを越え、悲しみを抱えているすべての人に対して
何か大いなる存在が優しい愛で包み込んでくれるような、
そんな視点でこの歌詞を読んでみますと、
思わず涙が溢れそうになる自分がいました。

自分で作った音楽のことを自分であれこれ言うのは
何とも気恥ずかしいものですが、
この曲は僕自身にとってもお気に入りの一曲となったのです。

ぜひ、皆さんもじっくりとお耳を傾けていただければ幸いです。
心の中に抱えていらっしゃる悲しみや苦しみ、苛立ちなどが
不思議なことにスーっと消えていくのを
お感じになることができるでしょう。

いのちのシンフォニー・慈しみのアリア/イザナギTaRO

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。