日記

旋律の創造

作曲の作業のひとつに、「旋律の創造」があります。

良いメロディーは、その楽曲を印象付けるキーワードとなり、
それはまるで音楽の構成やハーモニー、リズムといった「舞台」
の上で演技をする「主演女優」のような存在です。

良いメロディーというのは例外なく「簡潔で強い」ものです。
シンプルで分かりやすく、輪郭がくっきりとしていて、
心に響く強さを持っています。

作曲家はどうにかしてそういったメロディーを手に入れなければ
いけないのですが、その入手方法は作家によって様々です。

散歩しながら発想するという人もいますし、
お風呂に入っている間に浮かんだものをメモしておいて、
案件にマッチした時に取り出してきて使用するという
ビジネスライクな人もいます。

また、地の底から湧き上がってくるように感じるという人や、
空から降ってくるようだという人もいます。

僕の場合はどうかと言いますと、
空から旋律がちょっとだけ顔を出しているのが見えます。
僕は手を伸ばして、その先端を指先でつまみます。
しっかりつまむことができたら、あとは渾身の力をふりしぼって
旋律を地上に引き降ろす、というイメージです。

まず、空から旋律の先っぽが出るまで待たなければいけませんし
それを地上まで降ろしてくるのに相当の根気を要します。
なかなかすんなりとは降りてきてくれないものです。
(それだけ才能がないということになるのかもしれませんが。)

空からちょっとだけ見えている美しいメロディーを確実に掴み、
それをがんばってがんばって地上まで引っ張ってきます。
それが僕の「旋律の創造」のやり方です。
音を空から頂戴する感じですね。

先日ご縁があったイラストレーターの方にそんな話をしましたら
とても素敵なイラストを描いてくださいました。

薄汚れた欲望にまみれた味気ない中年男も、
才能あるイラストレーターさんの手にかかると
かなりの美青年になりますね(笑)。

このイラストのような男に少しでも近づけるよう、
日々がんばりたいと思います。。。

山谷知明/イラストレーション・junkoさん

山谷知明/イラストレーション・junkoさん

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。