日記

映画の中の大声

僕は映画が大好きな人間ですが、役者さんが大声で叫ぶシーンが
あまりにも多い映画は、観ていて苦痛を感じてしまいます。

役者さんに絶叫させることで強引に演出しようとしているのが
見え見えで、かなり寛容な心を持って鑑賞しても、
その意図を受け容れることができず白けてしまいます。

「オレの声を聞けよ!」

と大声で叫ばれたのでは、むしろ耳を塞ぎたくなります。

ところが不思議なことに、
優れた監督による演出と、優れた役者さんによる絶叫は、
同じ大声であってもちっとも不快ではなく、
まるで音楽のフォルテシモのように心に深く突き刺さって、
快感をさえ感じます。

音楽において、フォルテシモが楽曲の中でほんの一部分にだけ
登場するからこそ効果を発揮するのと同じように、
まずは作品の中で大声を出すシーンの分量を減らし、
なおかつ、大声で相手を罵倒するようなセリフにでさえも
愛が込められるといいますか、丁寧に演出されたものでなければ
観客の心にはまったく響かないでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。