日記

映画ほどデートにぴったりのものはない

「映画はデートには向かない。せっかく二人でいるのに、
 2時間も無言でいなければいけないから」

などと言われますが、個人的には、

「映画ほどデートにぴったりのものはない」

と思っています。

その理由はいくつかありますが、まずひとつめとして、

「映画の好みを知ることで、相手を知ることができる」

ということがあります。

映画というのは、愛についての考え方、家族についての考え方、
お金についての考え方、死についての考え方など、
幸せというものについて、つまり幸福観、価値観が
ぎゅっと詰まったものです。

その人がどんな幸福観、価値観を持っているか、
好きな映画の内容によって、ある程度推測することができます。

「映画の好みは、その人の本性に結びついている」

と言うことができるでしょう。

もしもデートの相手がアクション映画が好きというのであれば、
強いものに憧れている、少年っぽいところがある、
恋人や友人、家族を大切にする人である、
最近ストレスを抱えていて、スカっと解消したいと思っている、
などと想像することができますね。

もしもデートの相手がホラー映画が好きというのであれば、
怖がりである(怖いもの好きほど怖がりなものです)、
目に見えないものを信じる純粋さを持っている、
死や血に対する本能的な興味がある、守るより守られたいという
弱さを隠している、などと想像することができるでしょう。

このように、その人の好きな映画を知ることで、
その人のことを知ることができ、そして恐るべきことに、
その想像は、おおかた当たってしまうから驚きです。

目の前の相手とこれから長く付き合っていきたいと思う時、
また、この人と結婚して良いかどうか迷うような時、

「好きな映画は何ですか?」

と尋ね、その映画を自分も好きであれば
これから良い関係が築けると判断しても良いでしょう。

そういう意味で、相手と自分の相性をはかるのに、
映画というのは最適なのです。

また、映画がデートに向いている他の理由として、

「非日常を共有できること」

ということが挙げられます。

僕たちは朝起きてから夜寝るまでの間に、
様々なことに心を砕かなければならず、
「非日常」を感じる余裕はなかなかありません。

しかし、「非日常」こそが、
「日常」を輝かせる唯一の魔法であると言えるでしょう。

非日常の体験を通して得た喜びや悲しみ、感情の動き、
美味しさや心の安定などを日常生活に持ち帰ることで、
味気ない日常がたちまち輝き始めます。

映画は、そんな「非日常」のかたまりであると言えるでしょう。

外界と完全に遮断された空間。
わくわくするような暗闇。
目の前に広がる無限の白いスクリーン。
騒音に邪魔されずストレートに耳に届く音。
見たこともない美しい映像。
心に響く物語。

それはまるで、異国のシャーマンが藁葺きのテントの中で行う
トランス状態の舞踏のように、異次元へと誘ってくれます。

そんな上質な「非日常」の魔法を、大切な人の隣で、
たまに手を握りながら味わうことができるなんて、
それ以上の贅沢なひとときが映画の他にあるでしょうか。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。