本と音楽と映画を幼少の頃から愛好していますが、
音楽は仕事にしてしまいましたので、
もはや純粋に楽しむだけのものではなくなりましたし、
映画も制作の現場に入らせていただくようになってから、
仕事の目線で観ることが多くなりました。
今のところ仕事のことをあまり考えに入れずに没頭できるのは、
本だけということになっています。
僕はいくつかの本を並行して読むことが多いのですが、
ページを開いて活字を目でなぞると心がすっきりします。
文章の行間やレイアウトまわりの空白に、
自分だけの映像や色が浮かんできますし、
登場人物の台詞が、現実世界の人(僕がよく知っている人や
女優さん俳優さんなど)の声で聞こえてきます。
映画は、映像もあり、音楽もあり、演技もある
「総合芸術」と言われますが、
もしかしたら本もそうかもしれません。
しかも本は、
「読者が自分で世界を創ることのできる総合芸術」
です。
読者のこれまでの経験や思い出、大切な人たちへの想いなどが、
その世界を色とりどりに演出します。
人が本を読んで頭の中に生まれた世界というのは、
「世界にひとつだけの作品」
ということになりますね。