日記

締め切りとクオリティー

小学校の道徳の授業で、

「図工の時間にみんなで紙粘土で花瓶を作りました。
 終業のチャイムが鳴って、みんなはもう提出したのに、
 ある一人の女の子だけはまだ完成しませんでした。
 放課後までかかってようやく出来上がりました。
 その女の子の作品は誰のものよりも良くできていました。
 授業の時間内でできなかったのでその女の子は良くない
 でしょうか、それとも、誰よりも良いものを作ったので
 その女の子は良いでしょうか。」

という問いかけがあり、僕は当時とても頭を悩ませましたが、
今でもこれと同じことを音楽を作っている時に考えます。

作曲をお仕事としてお受けする以上必ず締切があります。
とても差し迫った納期の案件もあります。
このような場合は、いかなる理由があろうとも、
まずは締切を最優先で考えなければいけません。
なぜなら、納品した音楽を利用するお客様のその後の
スケジュールが決まっているからであり、
また、締切というのは、人と人との「約束」だからです。

ところが、締切が無く、いくらでも時間をかけて作って良い
のであれば、作品の質を上げることができる可能性があります。
(あくまでも可能性の有無であって、時間をかければ必ず良い
ものが出来上がるというわけではありません。むしろ時間が
ないほうが、良いものが出来る場合もあります。)

綱渡りのロープの上でバランスを取るような感覚で、
締切とクオリティーのバランスを取らなけれいけません。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。