日記

美しい羊羹

故郷の親戚から、美味しい羊羹が届きました。
いつもありがとうございます。

羊羹はむかしはあまり好きではなかったのですが、
25歳を越えたあたりから大好きになりました。

疲労困憊している時にちょっとでも食べると、
たちまち回復してしまいます。

どこまでも深い黒が美しく、
谷崎潤一郎の『陰影礼讃』という随筆の中にも、

「玉ぎょくのように半透明に曇った肌が、
 奥の方まで日の光りを吸い取って
 夢みる如きほの明るさを啣ふくんでいる感じ、
 あの色あいの深さ、複雑さは、
 西洋の菓子には絶対に見られない。

 クリームなどはあれに比べると何と云う浅はかさ、
 単純さであろう。
 だがその羊羹の色あいも、あれを塗り物の菓子器に入れて、
 肌の色が辛うじて見分けられる暗がりへ沈めると、
 ひとしお瞑想的になる。

 人はあの冷たく滑かなものを口中にふくむ時、
 あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって
 舌の先で融けるのを感じ、
 ほんとうはそう旨くない羊羹でも、
 味に異様な深みが添わるように思う。」

と書いています。(長文引用失礼)

たしかに口に入れる前に、あの黒の深さを
どこまでも覗き込んでしまいます。
その美しさにうっとりして、しばし時間を忘れます。

20代の頃は、1本の羊羹をバナナのように包み紙を剥がして
丸ごとかじっていたものですが、(下品で恐縮です)
今は4mm程度に薄く切ったり、サイコロくらいに小さく切って
じっくりと味わっています。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。