日記

自分の知っている人を描く

最近読んだ映画監督新藤兼人さんの本の中に、

「自分が知っている人のことしか描けない。」

という言葉がありました。

新藤さんは映画監督でしたので、登場するたくさんの人物を
生き生きと描くわけですが、その際に、自分の知っている人を
手がかりとして表現していくしかないのだと言っています。

たとえば、映画の主人公である女性を描く場合、
その女性がどんな職業でどんな生き方をしてきた女性であっても
それを単なる空想で描くのではなく、自分の知っている幾人かの
女性(お母さんや奥さんなど)を重ね合わせながら
描くしかないのだそうです。

その映画で描くのは、その物語の主人公の女性ではなく、
自分の知っている女性のことであり、どんな表現者も、
その範囲を越えることはできないのだそうです。

「空想」でさえ、よくよく考えてみますと、
Aさんがする空想と、Bさんがする空想は違うわけで、
Aさん空想する時には、Aさんのよく知っている人から、
少なからず影響を受けることになります。

人間は、自分に全く無いものを描くことはできないのですね。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。