日記

自己完結地獄

音楽でもグラフィックでも映像でも、ここ最近の制作の現場では
パソコン(個人向けコンピュータ)の恩恵を大いに受けています。

インターネットと併せることで、
費用や時間などの制作コストが、大幅に圧縮できるためです。

早い話が、作る技術さえ持っていれば、お金をかけなくても、
パソコン一台で納品レベルの作品を生み出すことができます。

ところが、このように何でもかんでもパソコン一台、自分一人で
できてしまうようになると、また新たな壁が立ちはだかります。

それは、

「自己完結」

という地獄に堕ちてしまうことです。

すべて自分の思ったように、自分の好きなように作ることが
できるため、自慰的、自己満足的な作品ばかり
製造される危険があります。

自己完結には麻薬的な性質があり、それはとても心地良いため、
いったんはまってしまうとなかなか抜け出せなくなります。
それが「地獄」と表現する理由です。

自分一人で作った王国の「裸の王様」になってしまうのです。

アニメ映画監督の宮崎駿さん、高畑勲さんは、制作の過程で、
ことあるごとに周囲の人に

「これどう?」

と尋ねてまわるそうですが、これはその「自己完結地獄」に
堕ちないようにするための戦いであると思います。

自分一人だけでは良い作品はできないものです。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。