日記

芸術と自然

一人の人間が生まれ、生き、そして死ぬまでの物語は、
たとえその内容がどんなものであったとしても、
古今東西のあらゆる名作映画よりも
素晴らしいものであると思います。

音楽で言い換えますと、どんなに素晴らしいメロディーも、
胸に迫るハーモニーも、心躍るリズムも、
自然界にすで存在している音、たとえば風の音や川のせせらぎ、
小鳥たちの歌声などには決してかなうことはありません。

「芸術は自然の模倣である」

という言葉の通り、自然界にすでに存在している美に
少しでも近付きたいという衝動から起こるのが
「創作」という行為であると言えるでしょう。

どんな映画の名台詞よりも、街角で出逢ったおじいちゃんの
たった一言のほうが重みがあり、胸を打つことがあります。
それは、生身の人間が自らの生活の中から絞り出した
「いのちの言葉」であるからでしょう。

「創作」は「自然」を超えることを希って尽力されますが、
永遠に超えることはできません。

「自然の美を超えるくらいのものを作りたい」

という創作家の「切ない願い」を受け取ることが、
芸術を味わうということの正体であると言えるでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。