日記

見えないステージと印象的な小さなこと

世の中を便利にしたり、人の心を感動させるのは、
いつも「ほんのちょっとしたこと」ですね。

たとえば、僕は音楽を作っていますが、
苦心して作り上げてきた部分ではなく、最後に味付けとして
ものの30秒くらいの時間でパパっとつけた簡単な1フレーズを
お客さんが大変気に入って、褒めていただくことがあります。

以前、映画用のチラシを作った際にも、
原作者の名前にふりがなを付けたら、主催者の人に、

「このふりがなが良かったね。たったこれだけのことだけど、
 配布したたくさんの人がよく指摘してくれるよ。」

と、単なるふりがなを付けるか付けないかということだけで、
会話や評価が生まれるというのはおもしろいことです。

もちろんそんな「ちょっとしたスパイスのようなこと」は、
土台となる大枠がしっかりしてこそ威力を発揮するのですが、
しっかりした土台を作れば作るほど、その「ステージ」は
目立たなくなって、その上に置くものが人の関心を惹きつける
のかもしれません。

ドストエフスキーの小説の中にも、

「小さなこと! 小さなことがもっとも大切なのだ!
 その小さなことがいつもすべてをだめにしてしまうのだ。」

という言葉がありますし、ある映画監督は、

「私はこのたったひとことのセリフを伝えたいために、
 途方もない労力と時間をかけて映画を作ったのです。」

と言っています。

受け取る人がまったく意識しない安定した土台と、
心に深く刻まれるような印象的なスパイスをひとつまみ、
そのふたつの調和が肝心ですね。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。