日記

道端の石ころは作れない

何かを作ろうとする時、どんなに

「自由にやって良い」

と言われても、完全に自由に作ることはできないものです。

依頼された案件の場合、お客さんはすでにある程度のイメージを
持っているもので、そのイメージを

「かたちにするお手伝い」

であると言うことができます。

その場合、作品を作る指針となるのは、お客さんの希望であり、
好みであり、作者の技術とセンスからの提案であります。

誰に頼まれたわけではなく、自分で自主的に作る作品の場合でも、
お客さんに

「自由に作ってください」

と言われた場合でも、必ず誰か(何か)の目を気にすることに
なります。

それは、自分自身の心の中にある美意識の時もありますし、
社会に広がっているテーマや価値観の時もあります。

つまり、作品を作る人というのは、どんな時にも

「誰かを喜ばせたい、誰かに褒められたい」

という気持ちを原動力として持っていることになります。

「自分の好きなものを作る」

という場合でさえ、

「自分を喜ばせたい、自分に褒められたい」

と言い換えることができますね。

日本画家の千住博さんは、紙の上に絵具を垂らして重力を使って
滝を描いていますが、あれでさえ、どこから絵具を落とすかを
決める段階ですでに千住さんの意識が入り込んでいて、
千住さんの「創作」であると言えるでしょう。

道端に落ちている石ころのかたちを美しいと思うことが
ありますが、あれを人が作ることは永遠にできないでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。