何かに集中している状態と、何かに依存している状態は、
どちらも、周囲が目に入らず、意識が一点に注がれているような
印象を受けます。
しかし、その根っこにあるものは大きく違います。
集中も依存もどちらも、意識が一点に絞られていることは
共通していますが、集中は自らの意思で制御することができ、
依存は制御することができません。
仕事に集中し、終業のチャイムと共に、その状態を停止させる
ことができますが、何かに依存した状態というのは、チャイムが
鳴っても止めることはできません。
また、依存は、それをしている間は安心感、心地良さ、快感を
感じられるのに対し、集中は、快感も不快感も何もない状態で、
ただ目の前のことを完遂するという目的に向かって、
静かに突き進んでいくようなイメージです。
依存が快楽ならば、集中は逆に苦しみを伴うのではないかと
思われがちですが、それは深い集中状態に入る前の段階であって
極度に集中してしまうと、人間の感覚的なものはまったく消えて
しまうものです。
そのような集中状態に入る前の導入部分で苦しみを伴うため、
人はなかなか物事に集中しようとはしません。
テスト前にいきなり部屋を掃除し出すのもそのためです。
集中状態に入る前の苦痛から逃げているのです。
しかし、いったん集中状態に入ってしまえば、
目的の完遂まであっという間です。