日記

音楽の未来

CDが売れずにレコードショップがどんどん店仕舞いし、
ヒットチャートのトップ10の中のほとんどが
ベスト盤(過去の遺産への依存)というこの時代において、
音楽の「これから」を模索する動きは続いています。
僕は、今後は「ライブ」や「コンサート」といった
生の音楽を体感できるものが伸びていくのではないかと
考えています。
音楽は本来、体で感じるものです。
現在多くの人が耳にしているMP3などの音楽ファイルは
「耳に聞こえない周波数」をカットすることで、
ファイルサイズの軽減をはかっています。
(そのおかげでiPodにはたくさんの曲が入れられるわけですね。)
しかし、音楽はその「耳に聞こえない周波数」こそが実は大事で、
身体のいろいろな部分で感じたり、もしかしたら
心臓や細胞を直接振動させているかもしれないのです。
そして、身体のあちこちで直接その波動を受け取ることが
「感動」へとつながっています。
コンサートで演奏家が弾いたチェロから放たれた波動は、
僕たちの「耳」以外に、身体の至る所に「響き」を届けていて、
それが統合されて「感動」へと昇華されています。
MP3(CDでさえも)その「大いなる波動」のほんの一部分を
切り取って、ファイルとして記録したに過ぎません。
それは単なる印刷物であり、パンフレットのようなものです。
音楽を「耳で聴いて楽しむ」というよりも、
「身体で感じて楽しむ」というところに
今後の方向性があるような気がしています。
「ライブ」や「コンサート」という従来の括りではなく、
もっと個人的なものかもしれません。
ある一個人のために、演奏家が、
その人の目の前で、その人のためだけに演奏する。
ディスクや音楽ファイルを間に挟まずに、
「生の音の受け渡し」が人と人とをつないだら
それは何と素敵なことでしょう。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。