日記

音楽販売バブル

「音楽」と言いますと、CDや楽曲配信による音源ファイルを
思い浮かべる方が多いと思いますが、
実はこれはほんのここ数年の出来事なのです。

人間がこの世に存在するようになってから、
音楽はどんな時にも人々の近くに存在しました。
お母さんは赤ちゃんのために子守歌を歌います。
もっと広い視点で考えるなら、鳥の歌声、川のせせらぎ、
風の声なども音楽ととらえることができるでしょう。

9世紀頃にヨーロッパでグレゴリオ聖歌という合唱曲が、
楽譜(ネウマ譜)に記録・保存されるようになったあたりから
音楽の研究・進化・産業化が進んで今に至ります。

作曲家が楽譜を書き、演奏家がそれを演奏し、
聴衆が空気の振動を通してそれを耳で受け取って心で味わう、
という音楽の当たり前のような楽しみ方が、
とても長い間行われてきました。

ところが、19世紀に入ってエジソンが蓄音機を発明し、
音を保存できるようになりました。
そうしますと、これまで生で聴いていた音楽を
保存して売ったらどうだろうと考える人が当然現れます。
そうやって、レコード、CD、配信音楽という形で
音楽販売業はが発展してきました。

音楽を保存して売るというのは、人類の長い歴史から見ると
ほんの150年くらいの短い間の出来事なのです。

CDにシングル1000円、アルバム3000円という値段を付けて
売っていた時代はもう終わりを迎えた雰囲気があります。
楽曲配信に慣れない人のために、CDという円盤で売るにしても、
値段はもっと自由であるべきかもしれません。

最近のアンケート調査で、

「いつも音楽は何で聴いていますか?」

というものがありその回答で圧倒的なパーセンテージを得たのが

「YouTubeで無料で聴いている。」

というものでした。

つまり、音楽販売業においては、
これまでがバブルだった可能性があります。
バブルはいつかはじけて消えるものですので、
保存された音楽の値段は限りなくゼロに近づくでしょう。

そして、ここ150年の間にみんなが音楽だと思っていたものは、
本当は音楽ではなかったのかもしれません。

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。