僕は、ドストエフスキーの『罪と罰』という小説が好きで
何度も繰り返して読んでいますが、この分厚い長編物語を
たった一言で表現しているような台詞を、ドストエフスキーの
他の小説に発見しました。
それは、
「神さまが罰を当てようとお思いなさるときには、まず第一に
分別をお取りあげになる」
という台詞です。
『白痴』という小説の中に見つけました。
人間は正しくない行動、間違った行動を取ると、誰に言われる
こともなく、誰に見つかることがなくても、自らすすんで
その間違いを認識し、無意識のうちに気持ちが動揺します。
正しくないことをすると、自動的に、自らの感情を不安定にし、
行動を乱し、破滅に向かうようにできているのです。
失われた風景/作曲:山谷 知明