日記

表現の抑制について

何事も、与え過ぎるというのは良くないもので、特に音楽や映画
などの作品作りにおいては、すべてを語ってしまうような表現よ
りも、受け手の想像力を喚起し、受け手の体験や想像力を補って
初めて完成するように、意図的に余白を残した作り方をする必要
があります。

たとえば分かりやすい例として、カラー写真とモノクロ写真の
比較があります。

カラー写真はどうしても現実的な感じがしてしまうものですが、
全く同じ写真をモノクロに変換したものを見てみると、どこか
懐かしい感情が呼び起こされたり、自分の過去の思い出を回想
するきっかけとなります。

これは、「色」というものをすっかり取り除いて、そこに
色彩的な想像力を反映させることができる余白を作ったためと
言えるでしょう。

現実感が薄れ、各人それぞれが自らの思い出を反映させること
ができるスペースが提供されるわけです。

それは、音楽でも映画でも文学でも同じことです。

語り過ぎるのではなく、受け手の想像力が入り込む場所を作って
あげるために、「表現の抑制」が必要になります。

今日の音楽

花雫/作曲:山谷 知明

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。