日記

むかし好きだったもの

人間は、だいたい10代の頃までに経験したことを土台として、
その後の趣味や嗜好が決定されると言って良いでしょう。

つまり10代の頃に好きだったものは、80歳になってもずっと好き
なのです。

大人になり、たとえば30代になって一旦そのことから離れること
もあるでしょう。

「もう飽きてしまった」

とか、

「むかしは好きだったけれど今はもう好きではない」

などというような言い方をします。

しかし、そこからさらに年月を経て歳を取ると、再び好きになる
というようなことがよくあります。

僕は、10代の頃にドビュッシーの音楽を

「きれいだな」

と思ってから20代の終わり頃までずっと好きでしたが、30代に
入ってからあまり聴かなくなってしまいました。

ドビュッシーの音楽の繊細な美しさに「曖昧さ」を感じるように
なり、そのような部分が好きだったはずなのですが、むしろそこ
が好きではない原因になってしまったのです。

もっと明確で強い表現、強い美しさを欲するようになりました。

ところが40代になり、昔のことを回想するような懐かしい気持ち
で、再びドビュッシーの音楽に惹かれるようになりました。

人間は自分の過去に想いを馳せる時、その時期に好きだったもの
を同時に思い出し、それをまた好きになれるのでしょう。

今日の音楽

なつかしい日々/作曲:山谷 知明

作曲家・株式会社サウンドジュエルデザイナーズ 代表取締役/青森県出身・横浜市在住/映画音楽、テレビやCMの音楽、歌、舞台音楽など、幅広い色彩の音楽を、繊細な音楽表現で描いています。主な作品は、映画『校庭に東風吹いて』、『ひまわり 沖縄は忘れない あの日の空を』、『アンダンテ 稲の旋律』、テレビアニメ『アスタロッテのおもちゃ!』など。特技は、集中力が長時間持続すること。好きなものは、美しいもの、映画、本、マカロン、チョコレート、高い所。好きな言葉は、「芸術家は弱者の味方である」。ドストエフスキー、太宰治、寺山修司、芥川龍之介、江戸川乱歩、夢野久作などを愛読しています。