ある人のことを思い出す時、その人が何を好きだったか、どんな
人だったか、短い言葉で、それこそたったひとつの単語で表現す
るということを、人間は頭の中でやっています。
たとえば、あなたの大切な人の顔を思い浮かべて、
どんな言葉(単語)が思い浮かぶでしょう。
優しい、花、音楽、料理、頑固、可愛い、美しい、お酒、カメラ、
油絵、りんご、映画、静か、元気、明るい、太陽、月。
たったひとつの単語でその人を表すとしたら、それがあなたに
とってのその人のイメージであり、たとえば、新しいカメラを
買ったけれどどうやって撮影したらいいか分からない、という
ことがあった時に、カメラという言葉と紐付けされた人物を
まず真っ先に思い浮かべるでしょう。
つまり、誰かにとって必要な人でありたいと思うなら、自分自身
を何かひとつの言葉で表現できるように、そのひとつのことだけ
に没頭し、自分はこれに夢中ですということを周囲の人に発表し
続ける必要があるということになります。
そして、紐付けされる言葉は少なければ少ないほど強くなります。
究極はたったひとつの言葉に集約されると良いでしょう。
言葉が多くなればなるほどそれぞれの力が弱まってしまい、
結局何をする人なのか、どんな人なのかが曖昧になってしまい、
人の記憶には残りません。
新しい道/作曲:山谷 知明