この世界のあらゆる仕事は、「感情」を生み出すために存在して
いると言って良いでしょう。
作曲家をしている僕なら、音を使って、それを聞いてくれた人の
心の中に感情を生み出すことが求められます。
画家であれば、絵の具や色鉛筆を使って、絵を見てくれた人の心
に感情を生み出し、食べ物屋なら、食材を使って、料理やお菓子
を食べてくれた人の心の中に
「美味しい! 幸せ!」
という感情を生み出す必要があります。
医者や警察、安全整備、建物づくりの人は、
「安心」
という感情を生み出してくれます。
人間は常に何かを感じて生きていて、また、感情を動かされる
ことを強く望む生き物です。
もしも今、良くない感情に支配されていたら、それを何とか消し
去って、良い感情を感じたいと思うでしょう。
もしも今、良い感情を感じていたとしても、もっともっと、
さらに良い感情を感じたいと思うでしょう。
感情の動きを封じられるほど残酷なことはないと言います。
無視されるよりも、いちゃもんをつけられて喧嘩がおっぱじまる
ほうがまだマシなのだそうです。
感情を動かし、感情を交換し、感情をぶつけ合う。
それは人間にとって、もっとも必要な快楽なのでしょう。
絵日記(バージョン3)/作曲:山谷 知明