僕は極度の面倒くさがり屋ですから、何をする時も、
「あー、面倒だなあ、やりたくないなあ」
という気持ちが先に立ってしまい、なかなか始めることができま
せんでした。
「でした」と書いたのは、最近この問題を改善する方法を見つけ
て実践し、なかなかうまくいくようになったからです。
僕は昔からじっとしているのが苦手で、子供の頃、
「落ち着きのない子」
とよく言われていました。
いつも何かをやっていないと気がすまないのです。
忙しく動いていないと逆に疲れてしまうという変な性格なのです。
それなのに、いざ何かをやろうとする時のこの倦怠感はいったい
何だろう、と疑問に思ったことから、もう一度自分の状況を確認
してみました。
すると、目の前のことをやりたくないのではなく、他にもやりた
いことがいっぱいあって、それらに気持ちが引きずられてしまっ
ているためだと気が付いたのです。
そこで、何かをしようとして、気持ちが揺れたと感じた瞬間に、
「今、何をするか」
と自分自身に問いかけることにしました。
おまじないのように実際に声に出して言うこともあります。
「今、何をするか」
こんな風に心に問いかけることで、一つのことが頭の中に残り、
その他のすべてのやりたいことを後ろに配置することができます。
暗転したステージの上で、たった一つのことにスポットライトが
当たるようなイメージです。
「それしかすることがない、それをするしかない」
こんな風に思うことができて、すんなり始めることができます。
古い言い伝え/作曲:山谷 知明