誰かが何かに夢中になっている。
それを見て、その人が夢中になっていることに自分も夢中になっ
てみると、自分の中の世界が広がっていく感覚を味わうことが
できます。
僕がそれを体験したのは、子供が星座やギリシャ神話に夢中に
なっているのを見た時です。
僕はそれらには特に興味がありませんでしたので、最初のうちは、
「ふーん、そうなんだ、知らなかったなあ」
などと、子供が夢中で話しているのをいいかげんに聞き流すよう
な感じだったのですが、何度も何度も聞かされているうちに、
頭の中に美しい星座やそれに伴う神話の物語が、まるで映画の
映像のように浮かび上がってきたのです。
それ以来、夜に星座を眺めることも多くなりましたし、ギリシャ
神話の本を読むことも多くなりました。
同じようなことが、友人やお客さんとの間にも起こるようになり、
自分だけの世界がいかに狭いか、それにとどまっていることが
いかに人生を味気ないものにしているかを思い知ったのです。
スペクタクル/作曲:山谷 知明