人間であれば誰でも何らかの悩み事を持っていると思います。
もちろん僕も持っていますよ。
一つだけではなく、たくさん持っています。。。
その悩み事を誰かに相談したとしても、100%気持ちを理解して
くれて、その悩み事が完全に消え去るようなアドバイスをして
くれる人など世界のどこにもいないでしょう。
なぜなら人間は誰でも自分以外の人間になることはできません
ので、他人を完全に理解することなどできず、そのほとんどは
想像力によって導き出されるアドバイスとなるからです。
また、そもそも他人の悩み事にいちいち全身全霊を捧げられる
ほど余裕のある人など存在しないでしょう。
みんな自分自身が抱えている悩み事で手一杯なはずです。
その証拠に、AさんがBさんのところに悩み事の相談に行ったら、
話しているうちに、Bさんが急に自分の悩み事を打ち明け出し、
いつしか立場が逆転してAさんが助言することになってしまった
という話を聞いたことが何度もあります。
また、悩み相談においては、具体的なやり方、具体的な対処法の
提案に留めるのがもっとも良いのですが、相談者がそれでは満足
しないという傾向があります。
「そんなことはネットを調べればいくらでも出てくる。
わたしが聞きたいのはそういうことではない」
と言われます。
せっかくアドバイスしているのになぜそんなことを相談者に言わ
れてしまうのかというと、具体的なやり方や対処法というのは、
面倒くさいものが多いからです。
しかしその面倒くさいけれど具体的なことを一つ一つやっていか
なければ悩み事の解決には至らないということも確かです。
相談者の多くは、魔法か何かを使って、現在の不安や憂鬱を
一瞬で消し去ってくれることを求めているのだと思います。
「共感」という言葉がもてはやされて、共感する、共感したい、
共感されたいとあちこちで使われていますが、共感だけでは
その人の悩み事を解決してあげることはできないでしょう。
悩み事の相談に乗ると言うなら、共感だけではなく、面倒くさく
て具体的なことを長い時間をかけて一緒に実践していくことを
覚悟する必要があるでしょう。
無責任に「共感」だけをするのではなく、面倒くさくて具体的な
ことを手取り足取り一緒に実践していかなければ、相談者の状況
は何も変わらないでしょう。
海/作曲:山谷 知明