僕が子供だった頃、夏休みになるとテレビで「あなたの知らない
世界」というお化けの特集番組をやっていて、毎シーズンとても
楽しみにしていました。
放送作家の新倉イワオさんが物静かな雰囲気で解説しながら進行
する番組でしたが、視聴者から寄せられた心霊体験の再現VTRの
出来映えが素晴らしく、とても怖かったのです。
1回の放送につき3つほどのお話が組み込まれていて、1、2本目は
とても怖く、まるでお化け屋敷のような作りになっていましたが、
3本目だけはなぜか物哀しく、人間の哀愁のようなものが込めら
れていて、胸がジーンとするようなエピソードが多かったような
気がします。
「心霊」の「霊」ではなく「心」の部分にスポットを当てた番組
構成だったのでしょうか。
同じように、現在も続いている大人気のお化け番組「本当にあっ
た怖い話」でも、最後に設置されるお話は、どこか哀愁があって
感動的な演出がなされていることが多いように思います。
僕はいつもそこに「秋」を感じます。
1つの番組の中でお化けに驚き恐怖に震えるエピソードはまさに
夏真っ盛り。お祭りを楽しんでいるようなものです。
しかしそれが終わり最後の1話は、夏の終わり、これから始まる
秋を予感させるのです。
ゴースト/作曲:山谷 知明